保田の海遊び

保田の秘密基地では露天風呂と海賊料理

海あそびと秘密基地

波音聞こえる海の酒

海遊びに行く内房保田の海近くの築80年の古家の庭先は僕らの秘密基地。直径2mの手製風呂の湯加減は太陽次第。沖の小島で集めた天然食材で飲む酒は勿論海にちなんだ名前の酒よ。ご近所さんも釣り仲間も飛び入りだ。
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保田の海近くの秘密基地。海遊びの後は天然食材で舌鼓、潮風で飲む酒が楽しみだ

 今年の夏も楽しみ多し内房の保田

この地にSさんが古い家を借りた、仲間達と勝手に改造して楽しんでいるので見に来てほしいという。

「自分達が海で調達したとびきり生きの良い海の幸をふんだんに料理して食べましょう。」

その話しを聞いた時、釣りをするなら僕も仲間に入れて下さい。

こう見えても僕は海釣りが大好きなのですよと。


6月になったばかりというのに晴れ渡った空からは、すでに真夏のような日差しが注ぎ全身をこがしています。

東京湾アクアラインの海ほたるを通過して45分たらずで目的地の千葉県鋸南町保田に到着。

Sさんの別宅は国道をわずかに入った築80年のしもたやではあったが、思いの他きれいでした。

庭先には直径2mの穴を掘り、コンクリート製の下水管を苦労して落とし込んだという露天風呂、周りにぐるっと囲むようにある板貼りの床がなんともマッチしていい。

更にその外側には枇杷の木と夏みかんの木が囲み、ほどよい日陰を作っている。

開けるのにコツがいるという玄関戸を開ける前に、先ずは下水管風呂についている水道の蛇口を開き勢いよく水を出し、落ち葉やありんこなどの虫を流し出します。

60pの深さまで水を満たすのに1時間は掛かるといい、その間部屋という部屋の雨戸を開け放しなんとも涼しい田舎の風を通します。

冷たいものを冷蔵庫から勝手にどうぞ、眠かったら一眠りもどうぞ、という案配です。

海遊びから帰って、このプール風呂に飛び込めば、太陽がちょうど良い湯加減にしてくれるからと言っている。

和室3室と台所に風呂、トイレがこの家のすべてで、南と西側の2方に廊下が廻っている。

Sの住んでいる地元のつるんで遊ぶ仲間である電気屋や土建屋や水道屋に声をかけ、この家の改造も一緒にやったし、家賃も分担払いしているのでサラリーマンの我が家でもそんなに負担にならない。

寝具は8人分あるので友達も誘って自由に使っていいですよ、とありがたい話。

但し、ラジオもテレビも新聞もありませんけど。


 ここが秘密基地

「ここは自然を愛するロマンチストな人たち共同の秘密基地なのですよ。」

みんなあこがれの秘密基地! まいりました。

冷蔵庫にはいつも魚釣り用の餌が入っているという。

釣り竿も誰のか判らないが何竿か置いてある。

1時間後そのエサを取り出し、置き竿など適当に道具を選んで海に出た。

国道を渡って海岸まで約3分。目の前は東京湾、ではない、太平洋です。

この海岸には浜辺から300m位の所に波の下に隠れてしまいそうな小島がひとつあり、今は人影が見えます。

その周辺の海面には、釣りをしているボートが数隻見えるだけです。

海水浴シーズン前なので砂浜に釣り人がぽつりぽつり立ち、海の家が2軒ほど開店準備中でした。

その隣に目指す貸しボート屋さんがあります。

釣りが目的ですから、釣りボート屋に一直線。

そこに向かって歩きながらSさんは、手こぎでもエンジン付きでも好きな方を選んで下さいと、まるでボート屋の親父のようなことをいう。

この浜でただ一軒のボート屋の親父さんとは長い付き合いだし、最近は年頃の娘も手伝っているがほとんど一人で対応している。

お客さんも状況がわかった常連が多いので手伝ってくれるし、隣の海の家を運営している大学生のサークルの学生が夏休みになると大勢来るので力を貸してくれるとのこと。

SさんもSさんの仲間もこの地に来た時には時々ボートの出し入れを手伝っている、その代わり無料でボートを借りているということです。

貸しボート屋の60歳を超えていそうな親父さんに紹介され、挨拶とおしゃべりをしたあと、それぞれ1艘ずつ手こぎボートを出し、適当なところにアンカーを落とし、釣り始めた。


 沖の波間に突き出た小磯で 

アジを数匹釣り上げ、Sさんはと見ると沖合の小島の方にボートを移動させている。

では、こちらもというわけ急いで漕いでその小島の磯に近づくと、海パンの男2人が波の下をのぞき込み何かをさがしている。

Sさんのボートの繋がれている近くにこちらのボートも寄せ、苦労してその小島に上陸した。


聞いてみると、岩にへばりついたさざえや穴に潜っているウニ、カニ、タコを捜しているという。

この小島は禁漁のはずだが、自分たちが食べる少量だったら土地の猟師も見逃してくれるので目立たないように採っているという。

実はこの2人の先客はSさんが話していた電気屋のTさんと土建屋さんのIさんで、私達が後から来るということで珍味を食べさせようと2時間も前から上陸していたということです。

まだ海水も冷たい時期なのに申し訳ないというと、我々も久しぶりに上陸して楽しんでいますよという話でした。

私も海中をのぞき込みましたが、とてもさざえなど探せないので海上のウニ採集を始めた。

立派なトゲがあり素手ではとてもへばりついている穴から引っ張り出せないので手持ちの小型ナイフを使って出来るだけ大きいウニを20個ほどなんとかゲットしました。


 紫色の唇になっても

裸の2人は波の打ち寄せる岩陰に潜って捕まえる役、Sさんは、1000円で買ってきたという箱めがねをのぞき込みながら2人に獲物のサザエやタコの居場所の指示役でクーラーボックスをつぎつぎに満たしています。

潜水役の2人はそのうち唇が紫色になり身体の震えが始まってきたのでそこで狩猟は終了です。

3艘のボートが浜に戻り、引き上げている頃には2人の紫になった唇も元に戻りました。

風が少し出てきたせいか、潮が動き出してきたのか、沖合に出ているボートが流され出しました。

沖合のボートはすべてここのボート屋さんのお客です。

Sさんも私も船の免許所有者なので流されて戻るのに苦労しているであろうボートの回収に行こうということで船外機付きのボートを2艘出すことにしました。

手こぎボートに近づき、数珠繋ぎにロープでくくり付け、それぞれ5〜6隻を海岸まで牽引してきました。

案の定、釣りきち達は息を切らせどもなかなか借りた場所に近づけずあせっていたようです。

その中の1組は画家の老夫婦で月に2〜3回はここに来てつりをしているということなので私を除いたみんなと顔見知りでした。

奥さんが「今日はマルイカが釣れたので好きなだけどうぞ。」という。

遠慮無くいただくついでに今夜予定しているパーティーに誘ったところ「喜んで。では5時頃に」ということで古家にもどり、昼間暖めておいた露天風呂に早速飛び込みました。

この古家の裏が民宿で、数本の立木が塀替わりになっているので、民宿の子供達3人もすっぽんぽんでやってきた。

幼稚園と小学生の子供達にとっては、いい遊び場です。

直径2mの温水プールに飛び込んできました。

ボイラーで沸かすお湯も流し込みながらの小1時間、麦わら帽子をかぶり缶ビール片手にわいわいやっているさまは、まるでウエスタン映画を見ているような光景に見えるはずです。

そうこうしているうちに先ほどの画家夫婦もやってきて、水のかけっこなどに加わりました。

Sさんは画家の奥さんと買い物に行き野菜やごはんなど、色々買い込んできましたので、いよいよパーティーの始まりです。

民宿の夫婦も加わり総勢11人のにぎわいです。

まだ海水浴シーズン前なので暇だと見え、子供達の親が民宿から持ってきてくれた焼き網やらバーベキュー用のコンロなどで、海賊焼き?の道具が揃ってきました。

にわか作りのコンロ2箇所からの炭焼きの匂いが立ちこめ何ともいい匂い。

海の幸いっぱいの料理には、料理人はいません。

ここではみんながシェフです。

適当にしか切れない野菜類はともかく、魚の料理はそこそこ様になっているシェフ達です。

昼間確保した生きの良いサザエやウニ、カニ、イカ、アジなどがメーンディッシュですから酒もどんどん進みます。

イカの断末魔に発する色の七変化もさることながら、アジのたたきをトウバンジャと大葉にくるんでほおばるのは結構いける。

日当たりのいい庭の夏みかんの木にたわわにぶら下がっている実を適当にもぎとり、手の平でぎゅっと絞り込み、ぶっかき氷を放り込む焼酎は最高だ。

みんなで飲む酒の銘柄は勿論”海”にちなんだもの。

日本酒は、通販で送ってもらったという愛媛の「美海(うましうみ)」と岡山の「瑠璃色の海」。

鹿児島の温泉水を利用した芋焼酎「海」は、甘みの感じる香りとさっぱりした口当たりで女性に好評だ。

もぎたての夏みかん絞りの焼酎は何回おかわりしただろう。

大きな焼きおにぎりもうまかったし、磯のカニを放り込んだだけのみそ汁にも大満足でした。

いつの間に夜も更け、賑やかだったパーティーの後の片付けはみんなで適当に切り上げです。

その夜はひどく酔いが回り、片づけもそこそこに適当に雑魚寝でした。

翌朝は日が高く昇る頃まで寝ていたことは言うまでもありません。


 早期退職したものの突然死

あれから2年、Sさんが突然亡くなりました。

「早期退職してこの地で民宿の親父になるのが夢です、その時はご家族や仲間を大勢連れてきて下さいね。」

なんともうらやましい夢を語っていたSさんは50歳になってまもなく早期退職していました。

そして半年間、ログハウスを建てる為にこの保田の地に毎週末通っていました。

ログハウスの完成挨拶状を出した1週間後、このログハウスで亡くなっていたということです。

その後、私はしばらく保田の浜には行きませんでした。

あらためてご冥福を祈ります。

最後までお読み頂きありがとうございました。




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