船の免許

船の免許をとって晴れてプレジャーボートの船長さん

船の免許
プレジャーボートで颯爽と

船の免許を取って、プレジャーボートを操縦して東京湾を颯爽と走る」は、船のマリーナや釣りこと、操縦する時のマナーや苦労して船の免許を取った時のこと、晴れて船長になった時のうれしかった体験エピソードなど。



プレジャーボートやヨットや水上バイクの船長さん、海で颯爽と操縦するには免許が必要
    

仕事場に海遊びの仲間の一人、Sさんから久しぶりに電話があった。

「ここ2〜3日の間は、天気も安定していまから、船を出しま〜す、いつもの所で8時に待っていますよ」

1年ほど前、Sさんは20フィートのプレジャーボートを購入し、東京湾口まで数10分の江戸川に繋がる中川放水路のマリーナに陸置きで保管してもらっている。

このボートは、エンジンがデッキ下にあるインナーインで120馬力、近頃FRP製が当たり前の船体が木造の珍しい船で、ポータブルのマリントイレと休憩用の長いすを設置した小さなキャビンも付いています。

遙か彼方に入道雲が見える空を横目に、同乗者4人と共にマリーナに到着、受付事務所で今日の出航予定を記入すると、彼の愛艇は大型クレーン車につり下げられて川面に降ろしてもらいます。

           

 自分で安全点検をしてから出航が原則

係留桟橋で燃料のガソリン補給やビルジ状態など一通りの安全点検、エンジンが暖まれば海に向かっていよいよ出航です。

広い海に出るまでは、河岸に繋いだボートを引き波でやたらと揺らしたり、釣りをしている人の邪魔をするような乱暴な操縦はしません。

船のスピードを落とし、静かに水面を滑るように走らすのが船長さんのマナーなのです。

下町のいくつかの陸橋と電車の鉄橋をくぐり、海の真近で50m幅の中川放水路から200m以上川幅のある広い荒川放水路に出ます。

高速湾岸線をくぐるとそこからは海です。

東京湾です。

真っ白なプレジャーボートで東京湾の波を切り裂き颯爽と疾走するのは非常に気持ちいいのは言うまでもありません。 

操縦席前のフードで陰になった顔に風が感じられるものの天気予報通り青空が広がり入道雲がムクムクと動いているのが見られます。

海上は、内陸部の陸上の5倍程度の風があるといわれます。

海風の吹かない日は滅多にないといってもいいでしょう。


それでも今日の風くらいではプレジャーボートにとってベストに近い日和です。

このボートには、これまで20回ばかり乗船させてもらい船長気取りも満喫させてもらっています。

小型船の場合、車と違い同乗者の1人でも免許を持っていると無免許の人でも操縦OKなのです。

実は私もこの船のオーナーに刺激を受け、小型船舶一級の免許を取得しました。

私が免許を取った当時は、現在のように一級と二級免許だけでなく、まだ一級から四級までに分かれておりましたので。

自慢するわけではありませんが一級の免許はかなり難しい試験でした。

8月末超高層ビル群の間近、西新宿のビル3階にあった講習会場で分厚い教科書を渡され、本の内容を一目見た時は、1年後の合格を覚悟しました。

週1回計5回の講習の合間は毎日12時間の丸暗記に精を出し、帯状疱疹になった程きつかった時期でした。

1ヶ月後、10月第1週の学科試験も冷やかし半分で受験しましたが無事合格。更に11月の船上の実地試験まで我ながらよくがんばったものです。
その甲斐あって、合格ぎりぎりの点数でしたが見事免許書を手にしました。

手こぎボートからいきなり、大型バスほどの大きさの船を操縦して、陸から遠く離れた海洋を航行できる船舶免許を手にするわけですから、天気図やレーダーの見方、エンジンを初めとした船の構造や船上はためく旗の種類、夜間航行の為の航路灯など到着先までの安全航海に関するあらゆることを頭に詰め込みました。

というより学科については丸暗記したというのが正解です。

最下位合格の為もあり、プレジャーボートとはいえ安全第一を心がけ操縦します。

     

 荒川から東京湾へ

さて、話を元に戻しますとプレジャーボートが河口から海上に出るとすぐ左側に、2つの人口渚があります。

そのひとつは葛西臨海公園から歩いて渡れますので、天気の良い日には家族連れが遊んでいるのがよく見えます。

渚の子供に手を振り、更に南の千葉方向に走らすとデーズニーランド隣接のホテル群が迫ります。

舳先を波のうねりと30度くらいの角度にして、時速にしたら50qものスピードで切り先く時の気持ちよさはいつも爽快です。

このあたりは、行徳港や市川港や舟橋港がある関係で時々大型船も通過しますので、左右前後注意しながら航行します。

大型船より注意しなくてはいけないのは、海苔を作るノリシビ養殖場の浮き竿のマークです。

一度この付近で、ほどけたロープがスクリューに絡まり閉口しました。

冷たい海に頭までつかり、大型ナイフでからまったロープを切り取るのです。

その時は航行に支障がなかったものの、海風が冷たく風邪を引きそうでした。

そんなこともあるので養殖場や海中いけすには十分注意をします。

江戸川放水路のこのあたりは、セイゴやカレイやハゼなどの絶好の釣り場にもなっています。

高速でボートを走らせてばかりいますと、1リッターで500m程度しか走らないすこぶる燃費の悪いプレジャーボートですので、釣り場に来た時には停船して、釣りボートに変身させます。

ボート内には釣り竿を常備していますので、飲料水やビール用のクーラーに一緒に入れてきたえさ箱を引っ張り出し、早速釣り準備をします。

私は、動いている時のボート上は平気ですが、停船して30分もするといつも気持ちが悪くなりますので、船酔い止めの水無でも飲める顆粒の薬センパーを飲んでから始めます。

ここは、大型船の航路近くですので時々大きく揺れます。

それでも海岸で釣るより大物が釣れる時がありますので、しばらくは釣りをします。

釣果が悪い時は、碇を上げてさっさと移動に限ります。

エンジン付きのボートはそこは便利です。

波が高くなった時は、江戸川や荒川をさかのぼっていきます。

河口近くでしたら、海と同じ獲物が釣れます。

また、最近ではゲストが乗船した時は運河巡りもします。

荒川から出てすぐに右折、西に進むと右に貯木場、左に高いマストを掲げた無数のヨットが浮かぶ夢の島ヨットハーバーを見ることが出来る。

京葉線の線路や高速道路の下をくぐり抜け、豊洲運河経由で隅田川まで抜ける間は、まるで今までの風景と異なる。

石川島播磨の工場跡地に建った高層ビルや佃、月島、晴海辺りの大都会の高層ビル群は壮観だ。

水上から眺める景色は、道路を走る車では感じることが出来ない町の活性の息吹きを感じる事ができる。

初めて乗船した人は皆さん口をそろえて「いつもと風景が違う。新しい発見だ。」と感動しておっしゃる。

東京湾を横断しているレインボーブリッジを見上げるとすぐに右折して京浜運河に入る。

浜松町、羽田空港間のモノレールの遠く向こうには東京タワーも見える。

このあたりの天王洲には出来たばかりの水上レストランがあります。

この「ウオーターライン」の桟橋に接岸、良い雰囲気の中で食事でもすれば誰もが最高と感じるはずです。

東京都は、2004年度から「運河ルネッサンス計画」に着手ということです。

もっと条例を緩和すれば、こういった普段味わえないお店も出来、観光スポットも増えるというものだ。

天王洲、芝浦、晴海地区では、水上ウエーディングなど多目的施設の桟橋や親水テラスができれば、更に楽しい場所に変身するはずです。

先ほどここに来る途中の運河でカヌーとすれ違った。

清流川下りをするカヌーの旅もすてきだが、都会の運河巡りをするカヌーの旅も楽しそうに思いませんか。

そのうち東京湾をのんびり走るカヌーが増えるかも知れない。

台場海浜公園あたりからカヌーやウインドサーフィンで食事や買い物に来る客もいるかも知れないな。

近い将来、ここらあたりの海上も運河も賑やかになる予感がします。

プレジャーボートのクルージングは、胃が刺激されるせいか結構腹が減ります。

航行の船の邪魔にならない埋め立て地の島影にアンカーを降ろす。

 船上での昼食

エンジンボックス上にコンビニ弁当のおにぎりやつまみを広げ、缶ビールやワンカップでの乾杯も楽しい時間です。

ホントは船でも飲酒運転はいけないのでしょうが、みなさんそこはあまり堅いことは言わないようです。

こんな時には、備え付きのポータブルのマリントイレがあるので女性も結構飲みますよ。

日が落ち始める前にマリーンまでの帰路につきますが、今度は多少さかのぼっていきますので帰りの方が幾分時間が掛かります。

流木やすれ違うボートに注意をしながらの帰港です。

船を走らせている時は、前がよく見えるように立って操縦しますのでこの頃になりますと操縦桿を握る船長さんは結構足腰に疲れを感じます。

無事帰港して、「はい、さようなら」といかないのが自前ボートの玉に瑕、乗員全員で大掃除です。

次回の乗船の為に、真水で船全体を洗います。

手すりのべたべたや船全体の汚れをマリーナーから借りたモップやぞうきんできれいに洗い落とします。

この白いプレジャーボートは、海好きな仲間の所有艇なので、次は誰が乗船するかわかりません。

いつも気持ちよく遊べる為に文句も言わずきれいに掃除をいたします。

船を所有することは結構出費することを知っていますので、いくら親しい仲間といっても今日の燃料代約1万円やクレーン使用代6000円くらいは、オーナーのS以外の3人で均等割してお礼として受け取ってもらいます。

これからも気持ちよく誘ってもらう為の必要経費と思って。




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